暑い日が続くと、キッチンに立つのも億劫になり、ついそうめんや冷やし中華など、同じようなメニューが続きがちですよね。
そんなとき、食卓を少しおしゃれに変えてくれるのが 「ヴィシソワーズ」。
フランス生まれのこの冷製スープは、じゃがいもと長ねぎの優しい甘みが広がり、なめらかでクリーミー。それでいて冷たくすっきりとした喉ごしが、夏の体に心地よく染み渡ります。
今回は、人気料理家・タサン志麻さんのレシピを参考に、初心者でも失敗しにくい作り方と、ヴィシソワーズの歴史や栄養効果、アレンジ方法まで、まるごとご紹介します。
ヴィシソワーズとは?歴史と由来
ヴィシソワーズは、もともと「ポタージュ・パルマンティエ」という温かいじゃがいものスープが原型です。
この温かいスープを冷やして提供するスタイルを生み出したのが、フランス出身のシェフ ルイ・ディア(Louis Diat)。
彼は20世紀初頭、ニューヨークのリッツ・カールトン・ホテルで働いており、母が作ってくれた温かいスープを夏でも楽しめるように冷製にアレンジしました。
この新しいスープは1917年頃にホテルで提供され、やがて世界中に広まりました。
「ヴィシソワーズ」という名前は、彼の出身地に近いヴィシー(Vichy)地方にちなんで名付けられたもの。
つまりこのスープは、フランスの家庭料理のやさしさと、アメリカのホテル文化の洗練さが融合した一品なのです。
材料(2人分)
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長ねぎ(白い部分+青い部分)…1本
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じゃがいも…2個
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バター(有塩)…10g
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コンソメ(顆粒)…小さじ1
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牛乳…250ml(150ml+100mlに分けて使用)
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青ねぎ(小口切り)…適量
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塩…適量
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黒こしょう…適量
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オリーブオイル…適量
道具:ハンドブレンダーまたはミキサー、裏ごし器(なめらかさ重視なら必須)
作り方(初心者でも安心のステップ解説)
1. 材料の下ごしらえ
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長ねぎは白い部分と青い部分に分け、どちらも薄切りに。青い部分も香りや色づけに使えます。
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じゃがいもは皮をむき、芽をしっかり取り除きます。縦半分に切り、さらに2cm幅にカット。
水にさらさず使うことで、ほっくり感が残ります。
2. 長ねぎを炒める
フライパンにバターを入れ、中火で熱します。バターが溶けたら長ねぎを加え、塩をひとつまみ振ります。
塩を加えることで水分が出て焦げにくくなり、甘みが引き立ちます。
3. じゃがいもを加えて炒める
長ねぎがしんなりしたら、じゃがいもを加えて弱火で炒めます。
バターをまとわせることで、煮崩れ防止&風味アップ。
4. 煮込む
具材がかぶる程度の水を加え、沸騰したらアクを取り除きます。
コンソメを加え、弱火で約15分、じゃがいもがやわらかくなるまで煮ます。
5. 攪拌してなめらかに
牛乳150mlを加え、ハンドブレンダーで攪拌します。
さらに裏ごしすると、舌触りが驚くほどなめらかに。
6. 味付けと冷却
温かいうちに塩で味を整えます。冷やすと塩味がマイルドになるので、やや濃いめがおすすめ。
氷水や保冷剤を使ってスープをしっかり冷やしましょう。
7. 盛り付け
冷えたスープに残りの牛乳100mlを加え、器に盛ります。
青ねぎ、黒こしょう、オリーブオイルをかければ完成です。
失敗しないコツ
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牛乳は2回に分けることで味と温度のバランスが良くなります。
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裏ごしは時間がかかりますが、なめらかさは段違い。
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冷やす時間は最低1時間確保すると、味が落ち着きます。
栄養と健康効果(数値入り)
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じゃがいも(中1個150g)には、ビタミンCが約17mg(成人女性推奨量の約20%)含まれます。でんぷんに守られているため、加熱しても比較的壊れにくいのが特徴。さらにカリウムや食物繊維も豊富で、むくみ予防やお腹の調子を整える効果も。
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長ねぎにはアリシンが含まれ、血行促進や免疫力アップに役立ちます。
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牛乳はカルシウムが豊富で、骨や歯の健康をサポートします。
保存方法
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冷蔵保存は牛乳を加える前の状態で約2日可能。
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食べる直前に牛乳を加えると分離しにくく、風味も長持ちします。
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冷凍は可能ですが、牛乳入りだと分離するためおすすめしません。
アレンジレシピ
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生クリームを加えて濃厚に
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豆乳やアーモンドミルクでヘルシーに
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コーンやかぼちゃで彩り&甘みプラス
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クルトンやナッツで食感アップ
合わせたい献立例
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朝食:バゲット+ヴィシソワーズ+フルーツヨーグルト
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ランチ:グリルチキン+サラダ+ヴィシソワーズ
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ディナー:魚のソテー+パン+ヴィシソワーズ(前菜)
ダイエット向けアレンジ
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バターをオリーブオイルに変更
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牛乳を低脂肪乳や無調整豆乳に置き換え
まとめ
ヴィシソワーズは、作る過程はシンプルなのに、口に入れた瞬間に広がる上品さが魅力。
歴史を知ると、より一層愛着が湧くスープです。
この夏、ぜひご自宅で作って、カフェ気分を味わってみてくださいね。